特定調停の成立要件

特定調停の申立権者は、「特定債務者」であり、債権者が特定調停の申立をすることはできません。

特定債務者とは、金銭を負っている者であって、
①支払不能に陥るおそれのあるもの
②事業継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの
③債務超過に陥るおそれのある法人
のいずれかに該当する必要があります。

これらの要件を満たせば、個人・法人を問わず、事業者・非事業者を問わず、また、債務総額や債権者数、事業規模等を問わず、特定債務者として特定調停手続を申し立てることができます。

成立要件

特定調停が成立するためには、当事者間の合意が「特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のもの」である必要があります。

ここで「公正」とは公平で法令に反しないこと、「妥当」とは債務者の経済的再生のために適切でふさわしいものを意味します。

「経済的合理性」とは、そのような内容の合意をすることが当事者双方にとって経済的に合理的であるということで、基本的に、債権者にとって譲歩せずに債務者が破産に至るよりも有利な内容であり、債権を一部放棄して債務者に事業等を継続させることによって将来の返済が見込まれる場合とされています。

特定調停が成立し、その内容を調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有することになります。裁判上の和解には確定判決と同一の効力をもつため、特定調停の調書の記載には執行力・形成力が認められます。

このため、特定債務者が調書内容の履行を怠ると、調停調書に基づいて強制執行されることになります。

弁護士法人アドバンス